細胞生物学の権威が緊急報告

        放射能に勝つ「食材」 「水」

  

                                日本医科大学院教授

                                      太田 成男

そもそも、放射線はなぜ体に良くないのか。一般的に、放射線は有機水銀やヒ素のように、体内に備蓄されて、毒が身体を蝕んでいく、と考えている方が多いようである。

だが、事実はそうではない。簡単に説明すれば、放射線は体内に入ると水分子と反応し、活性酸素をうみだす。厄介なのは、この活性酸素が、体内のDNA(遺伝子)を破壊する作用を持っていることだ。

活性酸素は普段から、呼吸した酸素の約1〜2%は副次的に生みだされている。

これらの作用により、人間は1日十万ヵ所くらいのDNAが自然に壊れているが、ほぼ同数が再生されている。ところが被曝するとさらに余分な活性酸素が生まれ、DNAが余計には破壊されてしまう。DNAの再生が追いつかなるくらいに、その破壊が多くなった場合にだけ、癌などの重大な障害を引き起こすのである。

 

太田教授は2007年5月、水素が体内の活性酸素をなくし、動脈硬化、がん、脳梗塞など生活習慣病対策に大きな効果があるいう研究結果を「ネイチャー・メディシン」などで発表している。これまで、水素が医学的に効果があるという結果を報告する論文が、各国から百本以上寄せられているが、その先駆けとなったのが太田氏だった。

 

NASAでも水素水を研究

昨年(2010年)中国・上海の第2軍事医科大がまとめた研究。マウスの集団で急性大量被曝をさせ、二つの群に分けた。一つは水素が溶けていない普通の水を飲ませた群。もう一つは水素水を飲ませ続けた群。すると、普通の水をのませた群は十日ほどで九割五分が死んだが、水素水を飲ませた群は二割しか死ななかった。

米ピッツバーグ大学でのネズミの臓器移植研究。通常、臓器移植の際、免疫抑制剤をつかわないと免疫抗体で拒絶反応がでて、八割以上が死ぬ。ところが、この実験では、水素水を飲ませた群は、免疫抑制剤なしで七割が生き残った。

米国航空宇宙局(NASA)でも放射線対策に水素水の研究をはじめている。 活性酸素の主成分であるヒドロキシルラジカルという物質は、水素と結びつくと化学反応で消滅する。また、水素は分子サイズが小さいのでどの部位や器官にも透過していく。そこで、対中に散らばる活性酸素を潰していけるのも強みである。

 

                   (週間文春 平成23年4月28日号 39Pから41P掲載)